平成30年度日本特殊教育学会自主シンポジウム報告その3(指定討論の様子)

前回に引き続き,今回は,指定討論の様子についてです.
 
 山元氏は,インクルーシブ構築に向けた動きや,新学習指導要領の趣旨,改訂のポイント,基礎的環境整備と合理的配慮の関係等について述べた後,話題提供者3名に対して質問を行いました.
まず,徳永に対しては「個別の指導計画や支援計画がある中で,合理的配慮について合意形成を図る際,ICFはどこで活用できるのか」を問いました.
それに対し,徳永は「個別の指導計画等の中で学習上又は生活上の困難を捉える際でもICF関連図で捉えることができる.また,その活用の有無にかかわらず,指導計画等の作成後に発生した,合理的配慮が必要となる可能性のある新たな事案について,現況や配慮等を検討する際にICF関連図が活用できるのではないか.」と応えました.

次に,西村氏に対しては,「LDのある児童生徒の実態把握では,ICFのコアセットを用いるより,その他のアセスメントの方が,LDの指導をしている先生方にとってみると,分かりやすいのではないか?」と問いました.
それに対して西村氏は「LDの指導に詳しい先生は,確かに諸検査の結果をもとに必要な手立て・配慮を容易に導くことができる.しかし,ICFコアセットを用いることにより,困難さの程度の把握や環境評価,環境との関連の中で構造的に困難の原因を把握し,必要な手立て・配慮を見出すことができると考えている.実行状況が高まれば,手立て・配慮の適切性も把握できる.」と応えました.

最後に,堺氏に対しては,「今回のコアセットは,教育という文脈の中で実績のある合理的配慮という点でとても価値があり,今後,合理的配慮を検討する学校にとって有効である.コアセットとバッテリーを組むとより効果的になるアセスメント等の方法はあるか?」と問いました.
それに対し,堺氏は「コアセットは,文字通り核となる部分なので,病弱・身体虚弱に関係する分類項目をすべて網羅しているわけではなく,ICFの概念的枠組み(ICFモデル)を使って,その子の状況を位置づけて,周辺部分というかその子をみる上で不足している面について捉えることが必要である.コアセットに関する状況を先にICFの概念的枠組み(ICFモデル)の中に位置づけて,幹を作って,枝葉を作っていくようなやり方も考えられると思う.バッテリーを組むという表現をするとすれば,コアセットと概念的枠組み(ICFモデル)とでバッテリーを組むと良い.」と応えました.

今回は以上です.次回は最終回として,フロアとのやり取りについて報告します.